SAKUMAESHIMAと共同設計、ランステーション併設総合型ストア
本案件では以前より関係を築いており、店舗設計の経験が豊富なSAKUMAESHIMAにイトーキから提案し、2社共同で設計を推進した。
—今回はどのような店舗を目指したのでしょうか。
島村:アシックスさんの新しいブランドコンセプト「HORIZON」をいかに形にするかを模索した店舗でした。
時間に合わせて色が移り変わるライティングで「SKY」を、サスティナブル素材であるコルクフローリングで「EARTH」を表現するなど、アシックスさんから頂いたキーワードを噛み砕き、デザインに落とし込んでいます。
鎌内:より幅広い方にご利用いただくことも一つのテーマだったので、ダークトーンを基調とした内装からライトグレーを基調とした中性的なカラーへ一新しました。女性や初心者の方にとっても立ち寄りやすく、ランナーを明るく迎え入れる雰囲気を作っています。
ランナーと買い物客双方のニーズを満たす店舗設計
—店舗設計で意識した点を教えてください。
朔:ランニングステーションとストアをいかに両立させるか、が肝でした。そこで、点在していた機能をまとめ、ランナーと買い物客の動線に沿ったゾーニングへ変更しました。
たとえば、クランクしていた通路を直線に整え、その右側をランサービスの受付や待合ロビー、左側をストア……と明確に区画分けすることで、「一目でどこに何があるか分かる」状態に。どちらの目的で来店しても、お客様がスムーズに利用できる店舗としました。
また、エントランスの階段の照明をグラデーションにして、走りに出るランナーの気持ちを盛り上げる演出もしています。
島村:店内イベント用のスペースは、什器を可動式にすることで確保しています。これまで柱に巻き付くように設置していた什器をキャスター付きのものへ変更し、シーンに合わせて店内を柔軟にカスタマイズできるようにしました。
機能性とデザイン性を両立する、こだわりのオリジナル什器
—什器もオリジナルで制作したと伺いました。
鎌内:はい。特に1面がアクリルの什器は、この店舗の象徴的なものです。あえてアクリルに色を付けることで、確かに存在しているけれど、ぼんやりと空間に溶け込んでいる……そんな「良い違和感」を演出しています。
島村:店内の柱と什器のシルエットを揃えることで、空間に統一感が生まれ、すっきりと見通しが良くなる効果もあります。障害物と捉えてしまいがちな柱をあえて活かすアイデアは、店舗設計の経験が豊富なSAKUMAESHIMAならではの視点だな、と。イトーキだけでは辿り着かなかった発想だと思います。
前嶋:私たちとしては、イトーキさんが持つノウハウや素材、生産力は什器を制作するにあたって欠かせませんでした。改めて「ものづくり」がイトーキさんの強みだと感じましたし、お互いの得意分野を存分に活かせたのではないでしょうか。
店舗もオフィスも、目の前の課題を一つずつ解決していくのは同じ
—店舗設計とオフィス設計で異なる点はありましたか?
鎌内:店舗はオフィスよりお客様の滞在時間が短いので、より直感に訴える空間づくりに取り組んだことが印象的でした。
前嶋:店舗もオフィスも、規模が異なるだけで考える骨格は同じですね。今回のリニューアルで一番大切にしたことは、フレキシブルな空間をつくること。そのためにどんな機能が必要か一つずつ考えていきました。
島村:そうですね。課題に直面する度に、自分たちで足を運んで調査して、解決していく。このプロセスはオフィスと同じだったと思います。
朔:そうして抽象的なブランドコンセプトを具体的なデザインに落とし込み、必要な機能を整理した状態でご提案できたことが、私たちにお任せいただく決め手になったと思います。イトーキさんが設計者として主体的に意思を持って推進してくれたので、非常に頼もしかったです。
Photo:竣工写真 井上昌明(Bouillon)
人物写真 イトーキオフィスにて撮影
SAKUMAESHIMA
東京の原宿を拠点に2016年に設立された、朔 永吉と前嶋 章太郎の共同主宰による建築設計事務所。
住宅や商業施設などの建築設計をはじめ、オフィス・店舗等の内装設計、 展覧会の会場構成、プロダクトデザインなど、コラボレーションを大切にプロジェクトに取り組んでいる。
既存のものを活かし、余分なエレメントを再解釈しながら価値を最大化することを目指している。それぞれのプロジェクトが発生した背景、環境、そしてストーリーを大事にしながら、対話を重ね、デザインしている。
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