本社の応接・会議エリアのリニューアルを実施した日本航空株式会社(以下JAL)。本プロジェクトにおいてイトーキは、プロジェクトマネジメント、レイアウトデザイン、インテリアデザイン、家具、ICTを担当した。
ブランド価値を高めるオフィスを目指して
—応接エリア、会議エリアのリニューアルに至った背景を教えてください。
森田:JAL様がこれまで培ってきたブランド価値をより一層高めるために、応接エリアと会議エリアを刷新するプロジェクトが始動しました。そこで私たちは、「一人ひとり心をひとつに、JALブランドを新たなステージへ」をコンセプトに掲げ、社員にとっては最高のパフォーマンスを発揮できる場に、お客様にとってはJAL様らしさを一貫して体感できる空間となるよう、設計・デザインを行いました。
応接エリアでは、訪れるお客様がJAL様のブランドアイデンティティを自然に感じられるよう、清潔さと品格を兼ね備えたインテリアを採用しました。また、社員とお客様の動線を整理し、快適かつ洗練されたおもてなし空間を実現しています。会議エリアでは、多様化する働き方に対応しつつ、ストレスなく議論できる環境を整備し、意思決定の質を高めています。
これらの取り組みによって、JAL様の中期経営計画に掲げられた「企業価値の向上」に貢献し、社員・お客様の双方にとって価値ある空間を完成させることができました。
体験価値にフォーカスした、気品が漂う応接エリア
—受付ロビーや応接室のデザインについて、こだわった部分を教えてください。
森田:空間全体にわたり、鶴や桜、飛行機の形状をイメージした“J”ラインカーブを取り入れました。例えば、受付カウンターや上部のルーバー、折り下げ天井にこのカーブを施し、JAL様らしさを際立たせています。
訪れる人が安らぎや温かみを感じられる空間を目指し、素材はナチュラルなものを中心に採用。さらに、アクセントカラーとしてゴールドを用いることで、高級感と華やかさを演出しています。日本らしさを表現するため、受付カウンターには伝統的な組子細工を意匠的に配置し、各所に国産のオーク材を使用している点も特徴です。また、展示スペースには桜をモチーフにしたオブジェを設置。壁面には異なる粒度の塗り壁材を重ね、雲が流れるようなゆるやかなウェーブを描いています。
応接室は「SORA」「KAZE」「TSUBASA」の3室があり、来訪されるお客様の人数や目的に応じて最適な部屋をJAL様が案内できるように、それぞれ異なるデザインを施しました。お客様が訪れるたびに「次はどの部屋だろう」と期待が膨らむような仕掛けとなっており、新しい体験価値の創出に繋がっています。
最新のICT機器を導入した会議エリア
—続いて、会議エリアのデザインについて、特徴的な部分を教えてください。
具志堅:質の高い会議が行える環境でスピーディーな意思決定ができるよう、会議室にはV字型のモニターとU字型のテーブルを採用しました。これにより、離れた人の表情を見渡せたり、Web参加者とも一体感を感じられたりと、円滑なコミュニケーションを促します。後方には、会議運営をサポートする陪席エリアを設けている点も特徴です。
また、マイクや画角の切り替えに伴う時間のロスを削減するために、話者を追尾するカメラとマイクを天井に設置。最新のICT機器を導入しながらも、従来の格調高さを維持し、カメラに映る背景からもJAL様らしさを感じられるインテリアとしています。特にこだわったのはモニターの設置方法で、モニターをルーバーに直接固定し、配線もルーバー内に収納することで、モニターが浮いているようなすっきりとした見た目を実現しました。また、背面の窓からの外光をルーバー越しに取り込むことで、透け感と奥行きのある空間を演出しています。
そして、会議室は「活発な議論」をテーマに設計。通路に面する壁をガラスに変更することで、室内だけでなく廊下にも外光を取り込み、開放的な空間へと生まれ変わりました。気になるセキュリティ面については、壁面やガラス面に吸音パネルを設置することで配慮しています。
誇りを持ってお客様をおもてなしできる空間へ
—最後に、このプロジェクトの特徴や、印象的だった点を教えてください。
森田:これまでJAL様が培ってこられた高い品質基準と、最新のICTソリューションやデザイン手法を組み合わせることで、機能性と意匠性を高いレベルで両立できました。
具志堅:具体的には、空港ラウンジに匹敵する厳しい基準をクリアするため、メンテナンス性や耐久性を追求しています。加えて、今回は施設企画部の方々と、施工図面の段階から高度な議論を交わすことができたのも大きなポイントでした。図面レベルで一つひとつのパーツや納まりを検証したことで、より完成度の高い空間に仕上げられたと思います。
森田:デザイン面では、三次元曲面の天井や用途に合わせて分割できる展示台など、複雑な形状や表現にもチャレンジしました。とりわけ受付ロビーに設置した桜のオブジェでは、満開の花、蕾、葉など異なる状態の桜を組み合わせ、時間の流れを表現しながら通年飾れるよう工夫しました。土台には盆栽を思わせる力強い流木を用い、お客様を迎えるにふさわしいシンボリックなデザインに仕上げています。その結果、社員が誇りを持って働ける環境と、お客様にJAL様らしいおもてなしが行き届く空間を完成させることができました。
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