岡山らしさ・企業のアイデンティティを感じられるオフィスへ
—はじめに、本プロジェクトの方針を教えてください。
玉田:両備システムズ様が岡山県に根づく企業であることを踏まえ、「ハレCo-モリ」というデザインコンセプトに決定しました。これは、晴れの国おかやま、個の力の結集・Co-クリエーション、杜の街グレース(入居ビル名)という本プロジェクトを象徴するキーワードを組み合わせた造語です。
小川:とくに「岡山らしさ」は企業のアイデンティを表現するうえで欠かせない要素だったので、岡山県産材を使用したテーブルやデニム地のベンチ、岡山県名産のフルーツをイメージしたゲストルームなどをご提案しました。カフェのオープンシェルフにディスプレイしている小物も、岡山県にちなんだ工芸品です。
見た目の美しさだけでなく、意味も込められたデザインを
—お客様へのご提案時に意識したことはありますか?
玉田:一つひとつのデザインに込めた意味や想いをお伝えし、一連の流れで展開していくストーリーをご提案することですね。「見た目が美しいから」という理由だけでなく、機能性ありきのデザインとしてご納得いただけるように。
例えば、エントランスは来社されたお客様と初めて接点を持つ「始まりの場所」なので、両備グループと同じ岡山県生まれの備前焼をタイルで取り入れています。このタイルは、岡山県の陶芸家さんとコラボして制作したオリジナルのものです。
小川:加えて、同じくエントランスには岡山県産材を使った待合ベンチを、その先に続くショールームにはデニム地のベンチを取り入れ、両備システムズ様が岡山県に根づく企業であることを表現しています。これらが来社されたお客様との会話のきっかけになったら良いな、という思いも込めて。
開放的なオフィスの中にも、一息つける空間をつくる
—とくにお気に入りのエリアはありますか?
小川:オープンスペース「Hiroba」にある靴脱ぎスペースですね。高さのある植栽や下がり天井で空間をゆるく仕切っているので、周囲では人が行き交ったり話し声がしたりするけれど、「こもり感」があり、ゆったりとした時間を過ごしていただけると思います。
玉田:ここは、隣接するエリアとの間に段差をつけないことで、バリアフリーにも配慮しています。さらに、植栽プランターに腰をかけられたり、脱いだ靴を収納できたりと、居心地だけでなく機能的にも優れているスペースですね。
小川:温かみがあり、落ち着いた雰囲気のカフェ空間「杜café」もお気に入りです。暖色のライトや下がり天井を取り入れることで、隣接する明るいオープンスペースとの違いを演出しています。試行錯誤を重ねて制作した杜caféの発光サインも、思い入れがあります。
思わず出社したくなる、遊び心が詰まった色使いやプロダクト
—色使いやプロダクトのこだわりを教えてください。
玉田:何といっても、オープンな空間構成の中に4つのITOKI SENSE(※)を共存させていることが特徴です。40種類ほどの張地を使用しながら、俯瞰で見たときに雑然とした印象にならないよう調整を繰り返しました。
また、採用するプロダクトを選定するフェーズでは、両備システムズ様が「新しい製品も積極的に取り入れてみましょう」と後押ししてくださったこともあり、WEB会議に特化した什器やウェルビーイングを意識した什器など、イトーキならではのプロダクトも果敢に取り入れていただいています。
※ITOKI SENSE:イトーキによるCMF(Color Material Finish)デザインのこと。CMFの4テーマを表現する「SENCE BOX」を2年ごとに更新。プロダクトデザインや空間デザインに活用されている。
Photo:人物写真はイトーキオフィスにて撮影
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